学生時代は演劇と学生運動にいそしみ、1954年に松竹大船撮影所に入社。大庭秀雄、野村芳太郎などのもとで助監督の経験を積みながら、映画批評や同人誌でシナリオを精力的に発表する。1959年、『愛と希望の街』で長篇監督デビュー。若者の性と暴力を鮮烈に描いた長篇2作目『青春残酷物語』（1960）がヒットし、「松竹ヌーヴェル・ヴァーグ」の旗手として注目を集める。ラディカルな政治批評を展開した『日本の夜と霧』（1960）が公開数日後に上映中止となったことを最後に松竹を退社し、1961年に独立プロダクション「創造社」を設立。ATGと組んだ『絞死刑』（1968）や『少年』（1969）など先鋭的な映画だけでなくTVドキュメンタリーなども製作。73年に創造社を解散させてからは活動の幅を海外まで広げ、フランスの製作会社との合作『愛のコリーダ』（1976）やデヴィッド・ボウイや坂本龍一が出演した『戦場のメリークリスマス』（1983）などで世界に衝撃を与える。映画の自由を求め続け、時に社会の暗部をえぐる反逆者として抵抗し続けた大島の作品は今もなおアクチュアルな批評的眼差しを持っている。

（執筆：中西 香南子/参考文献：国立映画アーカイブ企画上映プログラム）