田中絹代 (1909-1977)
14歳で松竹下加茂撮影所に入り、可憐な娘役で人気スターとなる。トーキー化以降も五所平之助や小津安二郎などの作品に出演し、晩年まで役者として第一線で活躍しつづけた。その一方、年齢で女性の役柄が固定されることや戦後のアメリカ訪問での見聞を通じて、監督業進出を決意。劇映画としては戦前の坂根田鶴子以来となる女性の監督となり、『恋文』(1953)でデビューを果たす。その後、田中澄江や和田夏十ら女性の脚本家と組んで『乳房よ永遠なれ』(1955)や『流転の王妃』(1960)を発表。売春婦更生施設を舞台にした『女ばかりの夜』(1961)は、『夜の女たち』(1948)等、田中が多く出演した溝口健二作品を思わせるテーマながらも、意志をもった主人公のよりよい未来の可能性も描きこみ、独自の展開で魅せた。2021年にはフランス・リヨンのリュミエール映画祭で全監督作6本が上映されるなど、世界的な注目監督となっている。
(執筆:玉田 健太)
(執筆:玉田 健太)
【キャスト】
- ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)
- サンダカン八番娼館 望郷 (1974)
- 放浪記 (1962)
- おとうと (1960)
- 楢山節考 (1958)
- 黄色いからす (1957) ── 松本雪子
- 流れる (1956)
- 噂の女 (1954)
- 山椒大夫 (1954)
- 雨月物語 4Kデジタル復元版 (1953) ── 宮木
- 煙突の見える場所 (1953) ── 緒方弘子
- 西鶴一代女 (1952)
- お遊さま (1951)
- 銀座化粧 (1951)
- 宗方姉妹 (1950)
- 風の中の牝鶏 (1948)
- 風の中の牝雞 (1948) ── 時子
- 三十三間堂 通し矢物語 (1945)
- 簪 (1941)
- 非常線の女 (1933) ── 時子